清竜人「WORLD」

WORLD

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 「痛いよ」が新譜として届けられた時に興奮して「日本のロッカバラードの新たなスタンダードナンバー」なんて大きな事を書かせてもらいました。いや勿論、その思いは変わってないんですが、ただ参った事に、このアルバム、同じレベルの名曲がそろい踏みなんすよ。(「ウェンディ」最高!)

 それは、前作の“作られた”竜人くんから、より本性を剥き出しにした赤裸々な竜人くんが紡いだ12曲。殻を破ったかのように、パンドラの箱が開いちゃったかのように、彼自身の内観世界が溢れ出してくるアルバム「ワールド」。

 「MUSICA」のインタビューでは、前作「PHILOSOPHY」について「一種のセルフプロデュースみたいなものを考えていて、凄く無理に(自分を)客観視しようとしていて。」って語っているけど、2枚目にして早くもその客観視とやらをかなぐり捨てて、自我に花を咲かせてしまったその“衝動”が何より素敵。

 だからこのアルバムは、前作に比べ劇的にエモーショナルで、個人的で、おまけにグッド・メロディーな名曲満載。たまに稚拙な歌詞が気になるけど、年齢に見合ってていいじゃない。

 すでにデビュー曲「Morning Sun」で完成されてた整ったアーティスト・イメージを良い意味で覆す、明らかに清竜人ネクスト・フェーズな1枚。これは次回以降も期待できる。